http://kagura.rdy.jp/kamimaho/index.html
全国のここあさんファンクラブの皆様お待たせいたしました。この僕が心の底から震えた作品、とうとう見つけてきましたよ。
中古なら大体4000円ぐらいで買えます。今週中ぐらいでお声かけもらえれば先着1名であげます。是非やってね。
いくらそういっても、やらないだろお前ら!!!
ってことでネタバレ全開で今回もいきまーす。
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http://d.hatena.ne.jp/mmm000mmm/20141213/p1
http://d.hatena.ne.jp/mmm000mmm/20141222/p1
話の一通りの流れはこれ2つ読んでもらえれば大丈夫かなと思います。この記事書き始める前にスクショ4つ用意したんですけど、今このサイト見たらうち2つで全く同じセリフのとこ撮ってました。気が合うね。
後に出る水葬銀貨のイストリアとライター同じってことで話の進み方も似てます。最初は何気ない日常~って感じなんだけど、ちょくちょく過去の不幸経歴の回想が挟まってきて、現実で事件が起こって、過去の回想が入って、と繰り返して、何もかもどうしようもない現状が明らかになっていき、ずぶずぶと鬱っていきます。
入ってるファンタジー設定は「魔法の本を開くとその内容が現実になる」、これだけです。完遂すれば勝手に本閉じて終わり。裏技として途中で本ぶっ壊して強制終了もあり。
でもまあ、これでいくらでも話が作れちゃうわけですよね。甘酸っぱい恋愛ストーリーから人殺しまでね。
~あらすじ~
個人図書館にひきこもる夜子。家庭内不和で家出てきて居候の瑠璃(主人公)と妹の妃、2人実質付き合ってます。夜子さまへ絶対服従メイドの理央。あとクラスメイトかなた。メインキャラ以上です。そして魔法の本がパカパカ開いていきますと。あとはさっきのサイト通り。
めちゃ人死にます。そもそも理央は夜子の母によって書かれた魔法の本で造られた存在なので最初から仮初です。体験版の最後で妃が事故に遭って死にます(後に自殺と判明)。翌日主人公も後を追って首吊り自殺。これじゃ私のかわいい夜子ちゃんが悲しんじゃうわと母が慌てて魔法の本を書き瑠璃と妃を蘇らせます。さすがに代償でかすぎて母死にます。でも妃はまた自殺します(妃ルートでは主人公と心中)。理央も途中で一回本閉じて死にます(ちょっとして生き返る)。後半で出てくるクリソベリルっていう魔法使いも大昔に死んでます。
~キャラ紹介~
個別ルートでの印象的なシーンが画像です。
ぽわぽわ。夜子のために「伏見理央」というタイトルの魔法の本で造られた存在で、その中の設定にはとにかく夜子に絶対服従、夜子より幸せになるな、一生尽くして死ね、みたいなことがずら~~っと書き連ねてあります。もちろん恋愛は禁止。だけど主人公のことがずっと好き。
もう嫌!!!!解放されたくて勝手に魔法の本を開きます。その内容は、吸血鬼になって男の子に愛されて死。最後に死ぬのは知ってのこと、もう吸血鬼なので「伏見理央」の設定に従う必要はありません。夜子をほっぽりだして主人公とらぶらぶ。
主人公が一生の愛を誓った場合の理央ルートでは吸血鬼の本を破いて死を回避、(仮初だけど)人間に戻ります。だけど「伏見理央」は恋愛禁止です。思いは通じ合いました。付き合って1日目。早速いちゃいちゃです。幸せ。翌日。付き合って1日目。早速いちゃいちゃです。主人公くんの様子がおかしいな?でも幸せ。翌日。付き合って1日目。主人公くんが絶望してる?
恋愛で幸せになっちゃうとその記憶が全部なくなっちゃう記憶障害なのでした。日記書いて残そうとしたけど完全無意識で黒塗りにして破り去ってたよ。もちろん全部本の設定のせい。
ふ、不憫すぎる……。夜子ママの勝手な都合で生み出されちゃった時点でもう終わってますよね。それでも健気に生き続けてきて、とうとう決意して死と引き換えに束の間の幸せを掴みに行くも結局は圧倒的な困難に妨げられちゃうと。
人間みんな平等だよとか言うけどそんなわきゃないですよね。環境で決まるよ。俺は努力でのし上がったぞとか言う人はたまたまそれが上手くいく環境だったんだよ。までも上手くいくかは最初には見通し立たないわけで、可能性を広げる意味で努力は決して無駄じゃないんですけどね。それでもがんばれる人は大したもん。でも無理な人は無理やねんで。
今度は夕暮れじゃないです。建物ごと燃えてます。心中シーン。
なんだかんだハッピーエンドになる本を開いたつもりが、似た内容でバッドエンドになる本を開いてしまいます。その本の主人公となった妃は瑠璃への愛を忘れ、別の人と愛し合う運命が定められてしまいました。そんなのは絶対に嫌!!!私は瑠璃のことしか愛しちゃだめなの!!!ほんとはすぐに本を壊せばよかったんですが、この時点で妃はその裏技を知りませんでした。だったら瑠璃以外の人を愛してしまうという最低最悪の未来を避けるにはどうしたらいいか。
迷いなく自ら命を絶った妃。物語の主人公が消失したことで魔法の本は静かに閉じ、その真相は誰にも知られないものとなります。
でそれを知った瑠璃も後を追って自殺してしまうのですが、ややあって2人とも夜子ママによって書かれた「四條瑠璃」「月社妃」という魔法の本によって仮初の存在として復活します。なお、これは夜子のためを思って書かれた本ですから、「月社妃」の方にはある設定が書き込まれています。最後の1ページ、「四條瑠璃に失恋をさせること」。
妃ルートではそれでも2人は愛し合うことを決意します。頑として守り続けてきた一線も越え、十分に愛を確かめ合って、瑠璃と共にとうとう「月社妃」に書き記された運命を全うします。
初めから兄と妹という関係。どうあがいても不幸にしかなり得ませんでした。それは愛の言葉として、ずっと「一緒に不幸になろう」と誓い合っていました。燃え盛る廃教会の中で時を同じくしてその生を終える。こんな終末でも、あるいは限りなく幸せなものだったのかもしれません。
……なんてちょっと語りに熱が入っちゃいましたが、これで幸せなわけあるかよ!!!!!妃は最初から一番好きなキャラだったんですが、結果的に堂々の最不幸キャラになってしまいました。悲しすぎる。なお妃ルート入らないと私はこんな仮初の存在受け入れない!つって躊躇いなく「月社妃」破って再び死んでしまいます。以後もう最後まで生き返りません。ちょっとだけ幽霊っぽく再登場はあるけどそれだけ。
度々挟まってくる過去の回想で一番出てくるキャラなんですが、大方はその家庭内不和について。幼い頃から妃は全く手のかからないよくできた子でした。不言実行で誰にも迷惑をかけません。そして、それがゆえ、両親からは嫌われてしまいます。分かります?手のかかる子の方がかわいいってんでね。親からは数々の暴言を浴びせられ続けますが、それでも瑠璃だけは妃に寄り添い続けてきました。妃はピアノが好きで、だけどピアノを習う環境なんて与えられるわけもなく、独学で指捌きを覚え、自分で楽譜を作り、学校の音楽室で合間を見つけては奏でていました。そんな妃を見て瑠璃は五線譜ノートや楽譜をプレゼントしました。妃はそれを大切にしてピアノを続けていたのですが、あるとき母にそのノートや楽譜、何もかもを燃やされてしまいます。母も昔ピアノやってたけど諦めたからとかどうとか。だけどそれを知った妃は無表情。「仕方のないことだと思うから」。瑠璃が涙するのを見て、初めて妃も涙を流します。その日を境に、妃はぱったりとピアノをやめました。
不和が決定的になったのはある夜のこと。いつにも増して酔って帰ってきて騒ぎ出した父親に一言「近所迷惑です」と告げたところ、そのとき妃は瑠璃をちょっとだけ誘惑してあげようってノリで薄めの服を着ていました。それでまあ、襲われちゃうわけですね。実の父親に。すぐそばには瑠璃がいました。すぐに助けてくれなかった瑠璃に対して妃は後々までちょっとしたわだかまりを抱え続けるんですが、瑠璃はそのとき武器を探していたんですね。瑠璃はゴルフクラブで父親をボコボコに殴りつけました。反省の言葉も聞き入れずに。これを機に、とうとう父と母は別居することとなりました。その後、それでも父は数年に渡って「俺たちはまだやり直せる」と信じ…思い込み続けるも、一方で母は早々と別の男を見つけていたのでした。
はあ、ほんと、家族って。って思いますよね。ときたま適当な他人とコミュニケーションするとそのご家庭の円満率にいつも驚くんですけれど、これは何だかんだ自分の周りにゆ~ふくな人が多いからなんですかね?そういう人にこそ知ってほしいですけど、うまくいってない家族関係ほどどうしようもなくて負担になるものはないんだよと。親を敬うのは当たり前とかおっしゃる方いらっしゃいますけど、君らネチネチ嫌味しか言ってこない上司様のこと敬い続けられてんすかね?
何もかも「仕方ない」で割り切っていく姿勢、諦めるって普通ネガティブですが、これは諦める強さだと思います。どうにもならないことをそれはそうと受け入れて生きていく、…ってのは我々世代の今ドキ課題でもありますね。泡沫と知りつつ束の間のささやかな幸せだけ享受してそれで何とか満足しましょうと。ね。それができたらね。
ハイパーツンデレお嬢。ひたすらめんどいやつです。好きじゃない。
瑠璃のことを初対面からず~~っと嫌い嫌い大嫌いと言い続けてきてて、だけど近しい周りの目から見りゃ明らかに好きなんですね。認める気はさらさらないようですと。
夜子ルート、瑠璃は夜子のために尽くし続けることを決意します。で瑠璃が真正面から本気の告白をするんですが、夜子は脱走。自分も瑠璃のことが好きだとはどうしても認めたくなくて、瑠璃の気持ちをどうにか否定してやりたいと。そして魔法の本を開きます。するとたちまち夜子は別人格に。根暗ぼっち引きこもりだった夜子は突然見違えるように、瑠璃に甘え一緒に学園に登校し、早々とお友達を作って人間関係の輪に入り込んでいきます。
これやばくね?また魔法の本じゃねえの、気をつけろよ?と周囲(かなたや夜子の兄)には注意されるんですが、瑠璃はそれを大して気にも留めません。夜子が変わろうと努力してるんだ、それを認めてあげたいよとか言って。
しばらく日々を過ごしたあと、夜子のほうから瑠璃に告白をします。俺も好きだよ。私のどんなところが好き?甘えてくれて、素直で、明るくて、…。…。それ、ぜ~んぶ偽りの私なんですけど?本当の私のこと全然好きじゃないよね?と。
うるせえそれでも俺はてめぇのこと好きなんじゃボケと瑠璃が開き直って一転攻勢、よ~~やっと少しずつデレるようになるんですが、いやあ、それにしてもこいつ、面倒くせえ……。夜子ルート入らなかった場合でも散っ々ゴネ倒して、親友の幽霊妃に押し倒されて引っぱたかれてようやく告白決めますからね。そっちでは結ばれないんですけど。
この作品の中心人物っぽい子ですし、終わり方も理央や妃のものに比べればよっぽどハッピーエンドな感じにはなってます。ただ、「明らかにならなかった真実はまだあるし、みんながみんな笑えてはないけどね」と不穏なナレーションが入って終わりです。
スタンダードな攻略順で書いてきてますが、言ってみればただのクラスメイトであるはずのかなたが最後に来るってのはちょっと不思議な感じもしますよね。
登場人物は全員18歳以上ですが、この話の始まりではみんな高1です(妃だけ1個下)。瑠璃が島の外から再び帰ってくる形で転校してきて、たまたま後ろの席にいたかなたと初対面となったのでした。…ということになっていました。実はそこから3年前、中1のときすでに2人は知り合っていて、例の廃教会でかなたは瑠璃に告白していたんですね。だけど、はい、また魔法の本。その告白シーンをうっかり覗いてしまったのが夜子でした。瑠璃が自分以外のものになってしまうのが許せなくて、妬ましさから、瑠璃の記憶からかなたという存在を本によって葬り去ってしまいました。
そうしてすっかり瑠璃に忘れ去られてしまったかなたちゃんですが、高校に入り、とうとう瑠璃との再会を果たします。どうにか今度こそ瑠璃と結ばれたい!!!その思いから第1章と第4章で2回も魔法の本を開くわけですね。1章のほうではわたし超不幸少女なの、誰か分からない人にいじめられてるの、瑠璃くん助けて、って感じで気を引いて、瑠璃は妃の助言をもとにそれが自作自演の狂言であることを暴くんですが、最後に2人は幸せなキスをして終了。そのとき本来深~い関係にあったはずの妃にはねっとりと愛を確認されちゃうんですが、そのシーンめちゃ好きなんですが今はかなたの話。4章のほうではかなたちゃんが幽霊になってしまいます。瑠璃くん、わたしの願いを叶えてわたしを成仏させて!わたしの願いはただこれだけ――、わたしを愛して…。それが魔法の本の筋書きですから、それを叶えなきゃ進まないわけで、瑠璃はその気持ちをとりあえず受け入れます。だけどすでに死別した妃のことがどうしても振り切れなくて、関係はなんだかぐだぐだに。全然笑ってくれない瑠璃くん。かなたちゃんはそれがどうにも気に入りません。そうして瑠璃を廃教会に誘い込み、あとは画像の通りだよ!目がどす黒く濁っておられる…。
で、ややあって、第10章。色々な事件が起こってきましたが、ずっと瑠璃に寄り添ってきたかなたがとうとう報われます。ただその頃には魔法の本に関するあれこれが明らかになってまして、だんだんクリソベリルが開き直ってきます。クリソベリルはとにかく(生きていたときの自分と似た境遇である)夜子に幸せになってほしかった。そこでクリソベリルは夜子をそそのかし、自分の理想の世界を魔法の本に綴って叶えてみなさい、なんてことを言います。それで一応夜子は瑠璃のこと嫌いってことなんで、瑠璃を蚊帳の外にした世界を創ります。けどややあって、瑠璃は再び夜子のもとに押しかけます。かなたと結ばれたとはいっても夜子を守りたい気持ちに変わりはないんですね。そこで登場するのがクリソベリル。魔法の本「四條瑠璃」に「妃を殺したのはかなただ、かなたを憎め」と記述します。本に設定されちゃ仕方ありません。たちまち瑠璃はかなたに憎しみを覚え、その場でかなたを殴りつけ、押し倒します。すぐにでも殺しちゃう勢いで掴みかかるんですが、かなたはふっと力を抜いて、微笑みます。画像4枚目。切り替わるBGMと相まってこの作品で屈指の名シーンだと僕は思ってます。そしてなんと瑠璃は魔法の本の効力に抗い自分を取り戻します。
貼ったサイトではアガペーって言葉を使ってますが、もうほんと、素敵ですよね。中1のときに思いを伝えて、そうしたら突然忘れ去られ、物理的な距離も開き、3年後あたかもほんとに初対面かのように振る舞い。褒められたもんじゃないとはいえ、いかにも怪しい魔法の本を2冊も開き、かなたなりに色々がんばってみて、それでも思いは通じずに。だけどやっぱり諦めず、つっけんどんな瑠璃の力になれるようずっと尽くし続け、暴力さえも受け入れる覚悟を決めて見せると。
なんだかメンヘラ級の愛の強さですが、かなたちゃんは決してヘラってる感じではないんですよね。かなたも学園ではぼっちなので素質ありありだと思うんですが、決して依存するわけじゃなくて、常に明るくそっと寄り添ってる感じでした。うむむ、さすが最後に持ってきただけあって正ヒロインの気品をうかがわせますね。
キャラ紹介終わり。あとは総評というか、通しての感想をざっくり箇条書きしてお開きです。
・誤字多すぎるんじゃあほ!!!3年後の第2作水葬銀貨でも全く反省しなかったよな
・妃の死の真相を始め、伏線の張り方がお上手。何だか分からんけどそうかあ、とモヤモヤさせといて、後に明らかに。深い~ってなる
・回想シーンのたびに流れるnostalgiaっていう曲があるんですが、この作品の象徴級。うう、ううう~ってなる(?)
・さっきも書いたけどかなたのアガペー発動シーンは泣いちゃう一歩手前でした。鳥肌すごかった。
・きれいに話はまとまったと思うけど、冷静になると主人公兄妹とっくに自殺してるし夜子ママも死んでるし理央は変わらず仮初存在だし、いいのかな、って感じではあるよね
・とはいえ名作!!やってよかった!!ウグイスカグラ新作でたら絶対すぐに予約してやるからな
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